zakkan 甚佐紅(ざっかん じんざもみ)

日々の雑感を綴ってみたい・・・。

裸足の平安時代 その四

芽吹き始めた木々。




昨日縫い上げたブラウスと、どこかしら似ているような気もして。

その昔、37㎝ × 11m の絹布を織り上げるのに、どれほどの手間を必要としたことか。


さていま、この世の中にあふれかえるアパレルのすさまじい量を憂えたりしながらも。


戦禍の中にあるガザやスーダンの人々、TVで見る限りですが、こぎれいなTシャツを着ていらしたりして、どんなところへも届く流通、そして、供給に携わる方々を、なんて素晴らしいと寿いでいます。


綿花も栽培されず、麻や藤の蔓を蒸して編んだ粗末な衣服を着て、ほとんどの人が裸足だった平安時代、を、あたまの隅に引っ掛けたまま、先週の日曜日、「光る君へ」というドラマを見ていました。


殿上で、若いおのこたちが戯れのように、ちょっと不細工な舞いを披露しているシーンがあって。
「あれれ、こはぜの付いた足袋を履いてる・・・」


何年か前なら日常のせわしなさに紛れて忘れてしまうのですが、おばばぢからの付いたこんにち、これは質問せねばなるまい、とNHKのHPに載っていた質問コーナーだったか?から、「こはぜの付いた足袋をお履きになっていたように見えたのですが」と訊いてみました。


二日後、丁寧な返信が来ました。


NHKの番組をご視聴いただき、ありがとうございます。
お問い合わせの件についてご連絡いたします。


平安時代の殿上での正装の履物を「襪(しとうず)」と呼ぶのはご存じかと思います。
指の股の設けられていない靴下・足袋のようなはきものです。


本来は絹製ですが、使い慣れていない人が使用するには滑りやすいという
使用上の危険があります。着用しても足首を包み込むのですが、遊びがあり、
ふんばることができず慣れていないと危険です。


現在でも神社の神職さんが用いる、足袋のような着装方法の襪が販売されており、
これは滑らない、そして足首をしっかり包み込む安全な仕様となっています。
この足袋のような着装方法の物はご指摘いただきました通り江戸時代の作りですが、
劇中では出演者の安全確保のために使用しています。
ご了承ください。


大河ドラマ「光る君へ」担当
NHKふれあいセンター(放送)



なるほど。
この時代、速やかに、しかも、いちおう!納得のいく返答でないと、すぐ「炎上」とか。
幾千幾万の視聴者からの「ああだ、こうだ」に真摯に答えるためには、それなりの人をそれなりの数揃えておかなければならない、って、いやはやお金かかりそう。


三年前のちょうどこの季節、引っ越してきたばかりでしたが、まず三頭の山羊を産直市場から借りました。
借りる、というお題で、産直市場に取材の依頼が入り、NHKBSの取材班が我が家にやってきたのは七月の初めだったか。
パンデミックも愈々ひどくなっていて、さんさんと降る陽差しの中、山羊たちを除いては、み~んなマスク姿でもくもくと撮り続け。
11月の放映を見たら13分くらいでした。三日もかけて。
東京から三人。三回に分けて一晩泊まりでやってきて。
そういった番組のほとんどは、外部のプロダクションに丸投げしていると聞いて、これまたびっくり。


NHKから取材費、たくさん出るの?と担当ディレクターに言ったら、はい、NHKが一番です。
へええ、ちなみにどこが渋ちん?
それはもう、テレビ東京です!


外は雨。
菜種梅雨をコーヒーとともに愛でながら、きょう一日を愉しく過ごすことにしましょう。