zakkan 甚佐紅(ざっかん じんざもみ)

日々の雑感を綴ってみたい・・・。

「アルプスの少女ハイジ」ではなくて。

素晴らしい弥生の空。
山羊も元気です。

江戸時代からの床板を外して井桁に組んで、高いところが大好きな山羊のためのささやかなアミューズメント。
柵も二人で杭を打ち、ネットを張って、なかなかの広さの運動場を確保しました。


2020年夏。
もはや、吹き荒れるパンデミックにあらがうことなどできるものではない、
店を閉めよう。


そう心に決めてPCを開きました。
まず、山羊を手に入れることができるのか?
飼うことは可能か?


海の傍の風光明媚な集合住宅の一室を手に入れることができたのは、あらゆる選択肢に対応してくれたPC上の不動産屋さんのお陰です。
今また新しい課題に立ち向かう相棒にPCは欠かせません。


はたして。北海道から九州までたくさんの山羊牧場があり、購入も意外に簡単にできることが分かりました。


しかし。
「ここで死ぬんだ」と嬉しそうに過ごしている夫の説得は?
神戸の海っぱたの105㎡のゆったりした住まいを捨てさせることができるのか?


そこで。
夫は、若いころスキーをやっていて、というか、富士山から滑り降りるくらいマニアックなゲレンデ野郎ですから、まず、長野県ってどう?と訊いてみました。
長野?ああ、長野はスキーで毎週のように行っていたよ。
お、滑り出しは快調です。
でもそれから、とてつもなく長い時間、夫の、長野自慢と渋滞とスキー仲間の話を聞かねばなりませんでしたが。


伊那市に「グリーンファーム」という山羊を貸し出したり、購入も可という産直市場があり、神戸の自宅から400キロ。4時間半の道のりなら、なんとかなる!
山羊の貸し出しは、3か月が最長です、更新していってください、とのことでしたから、とりあえず3頭、3か月間借りることにしました。


同時に「空き家バンク」を毎日欠かさずチェックして、山羊の飼える広さと、「上下水道」の完備、を条件に住まいを探しました。


2020年12月20日、元町の店を閉めました。
そして2021年3月、神戸と伊那で夏と冬、半分ずつ暮らすのっていいかも、と二元生活を目指して引っ越してきたのです。


友人たちは、一番近いコンビニまで10km、と聞いて、大丈夫?半年だって暮らしていけない、と心底心配そうでしたが、私たち、夫は26回め、私は18回目の引っ越しでしたし、宅配も問題ないと聞いていましたから、なんの心配もありませんでした。


そう、友人の一人が、長野で山羊を飼うなんて「アルプスの少女ハイジ」だよねえ、と言ってくれて。


実際は、「アルプスの少女ハイジ」ではなくて、「アルプスも見えない老女アカネ」です。


山と山に挟まれたただの中山間地。標高だけは900m近いのですが・・・。
美しい雪のアルプスを望むには10km降りていかねばなりません。
いつも、溜息の出るような荘厳なカールを擁した山々を目にしたとたん、
「長野県に来たみたーい」と叫んでしまいます・・・。